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真伝無外流居合兵道―塩川寶祥の武芸極意書
真伝無外流居合兵道―塩川寶祥の武芸極意書 (JUGEMレビュー »)
塩川 寶祥照成,岡崎 寶祥寛人,無外流居合道連盟
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小説の中の無外流と勝負合
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     19日の日曜日、東京都民スポーツ大会(於東京武道館)で
    ”なぎなた”の団体戦を看学してきた。指導も受けていないし、
    実戦経験もない為「打突判定がナント難しいことよ」と正直
     とまどった。剣道は一応それなりの判断が出来ると思ったが、
    どちらが早かったかの判断ではなく、誰の技が一本となった
    のか?あれがナゼ一本にならないか?判別が難しい。
     女性だけの試合なので動きが早い訳ではないが、遠間から、
    近間から上下、左右、剣先、柄尻を目まぐるしく回転、変化
    させての攻防をみても、刃物で男性の達人を相手にしたら空
    恐ろしい武術だろうナと痛感して帰ってきた。

     ところで、前回”勝負合”を話題にしたが、それにも絡んで
    時代小説の中で”無外流”が題材となっているものを少し紹介
    しようと思う。
     村上元三が描いた辻月旦が絡む仇討物語は「撃剣叢談」で
    「江戸小石川に住し、一流を弘めて名の高い”辻無外”(後に
    白舟と号す)が、軟弱なる兄弟に無外流の技を”外(ほか)の
    門人より格段に精を入れ、初心なれども大切の口伝を授け、
    高田馬場で親の敵討を果たさせた」と記しているが、
     

     別の書では「門人杉田庄左衛門が麹町半蔵門外の堀端で親の
    仇を討ったことが評判となり、無外流の名が広く知れるように
    なった」と書かれている。
     
     一説では、月旦がただ一本教えた技は、”走り懸リ”だという。

     小説の中で”無外流”の名が時々出てくるのは藤沢周平の時代
    小説だが、ライバル道場の流儀であまり良い役ではないことが
    多いし、勝負の場面での太刀遣いの描写も詳しくはない。
     もう一人著名な作家の佐伯泰英のシリーズ時代小説「居眠り
    磐音 江戸草紙巻26「紅花ノ邨」と巻30「侘助ノ白」に
    結構細かく描かれているが、今回は「侘助ノ白」を紹介する。

     物語は、主人公佐々木磐音(深川今小町と言われた愛妻の
    おこんと共に神田神保小路にある直心影流尚武館佐々木道場
    に夫婦養子となり、”坂崎”から改姓)ではなくその門弟乗富
    利次郎が、密命を帯び国入りした父の故郷土佐山内家(無外
    流のお膝元)で、反対派7~8人に襲われたとき同藩内で事を
    大きくしないため、一対一の勝負を挑んだ相手が「無外流の
    小坪籐吉」だった。

     
    「相手の小坪も厚みのありそうな刀を抜き、脇構えに置いて
    腰を沈めた。 利次郎は国広(桃山時代の相州伝の名刀工、
    堀川)を正眼に構え、小坪の目を注視した。
     雨が降っていた。 二人は互いの呼吸を読み合いながら、
    踏込むきっかけを探りあった。(小略)
     小坪がするすると突進してきた。 利次郎も相手の動きを
    見つつ踏み込んだ。 間合が一気に切られ、小坪の脇構えが
    弧を描いて利次郎の腰を襲った。
     利次郎の正眼の国広が伸びてきた刀を押さえて弾き返した。
    小坪が流れた刀身を虚空に引き付け、利次郎の首筋に二の手
    を入れてきた。
     利次郎は国広で小坪の刀を弾いた後、身をくるりと相手の
    体の横手に流し、二の手を避けると戦いの間合い内で踏み
    とどまった。 小坪は下段から擦り上げた。
     利次郎は浮き上がってくる小坪に自ら鎬を合わせ、相手の
    動きを止めた。(小略)小坪の顔がみるみる真赤に染まった。
    利次郎は相手の弾む息を読みつつ、押さえていた国広から、
    ぱあっと力を抜き、飛び下る構えを見せた。
    得たり、と小坪が自由になった刀を引き付けようとしたとき、
    下がりながら利次郎の国広が小坪の右手首の腱を断ち斬って
    いた。」(以下略)

     少し長くなったが、剣術としての”勝負合(私がその一つ
    と考えている”を、結構事細かに描写されているので、紹介
    した次第である。
     
     結構面白い時代小説で、テレビ時代劇のシリーズ物として
    山本耕二主演で徳川家治時代の江戸下町の市井を描きながら、
    色々な流儀を紹介しつつ随所にその達者との剣劇を盛り込む
    一冊完結式の文庫本(双葉文庫:既に40巻を発刊している)
    で、時代小説が好きな方は勉強?にもなるのでお奨めしたい。
    | - | 15:08 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
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